プロローグ
聖應女学院(せいおうじょがくいん)
エルダー制度/Elder sister award
● エルダー制度(えるだーせいど)/Elder sister award

 書いて字の通り、「Elder sister…一番上のお姉さん」という意味で、「全校生徒の頂点に立つ生徒」と云う意味合いがある。通常学園生活では「エルダーシスター」では些か長いので、日本人らしく文意を無視して「エルダー」と呼ばれるようになった。

 手本となる最上級生を生徒達自らが選出するという民主的なシステムで、年一回六月の末に発表される。生徒会役員が前期役員の指名推薦+信任制で決定されるのに対して、エルダーは全生徒の支持によって誕生し、その発言力は時に現職の生徒会長をすら凌駕する。因みに、エルダーに選出されるには総有効票数の75%以上というとんでもない得票数が必要で、達しない場合は空席となる。

 従来は生徒会長が並立で擁されることが多い。ただ、得票者が他の得票者を支持することによってその人物の持つ得票自体が支持した相手に加算されるといった、独特のシステムも存在するため、エルダーが空席になる場合はそれほど多くないのである。加えて通常の生徒会選挙と違い、学院内ではエルダーに対する関心が極めて高いため、選挙活動や事前の広報活動は全く必要がないほどであることも大きい。

 エルダーとして選出された生徒は、七月から卒業までの間全校生徒から「お姉さま」と尊敬を込めて呼ばれることになる。これまた奇妙な話だが、同学年である最上級生達もやはり呼び方は「お姉さま」である。ま、それこそが「Elder sister」と呼ばれる由縁ではあるのだが。