背景美術の出来るまで
  「美少女ゲーム」である以上はキャラクターに眼が行きがちなのは当然なのですが、キャラクターを立たせるベースになる背景美術も、ゲームの世界観を構築する上でキャラクターに劣らない重要な要素です。
 今回は、そんな背景美術の出来るまでを順を追って見ていきたいと思います。

 決して背景担当の神威氏に

「CGばかり注目されるのはズルイ。俺にも語らせろ」

 と、 強要されたからではありません。
 ええ、ありませんとも。

 背景担当の神威光司です。

 今回は、あまり知られていない(と思う)
 背景の制作過程を簡単に紹介します。


 ・・・・・・要求してきた時とは打って変わって、えらく恐縮した態度ですが、まぁ勘弁してやりましょう。

 


00
 まず鉛筆で線画を描きます。
01
 鉄筆とカーボン紙をつかって画用紙に線画を転写します。 あまり細く写しません。

 そして水張りします。
 普通は板に張るんでしょうが、板だと重くてやりにくいかなと思ったので僕はボール紙のボードに張ります。
 画用紙が縮んでボードが反り返りますが、気にしません・・・

 ポスターカラーを使って着色開始。

02
 ゲームにおける背景の役割として、背景が記憶を呼び出すスイッチになればいいなと思って描いてます。

 つまりプレイヤーの皆さんが背景を見たときに、例えば冬のお昼時の気温だとか、そういう皮膚感覚的な記憶を思い出してもらえたら、ゲームの世界を身近に感じて、キャラクターの存在にも よりリアリティを感じてもらえるのではないか、 と思うからです。


03
 今描いているのは「春の昼間」です。
 サクラが咲くような時期です。
 雪が積もっている状態の絵は、後にこの絵をベースにフォトショップで加工したものです。
04
 どんどん描きます。
05
 描き途中ですがいろいろ悩んでしまって進まないので
このへんでパソコンに取り込むことにしました。
 画用紙を切り抜いて作った画面フレームを当てて見るとこんなカンジ。

 取り込みは今回デジカメでやってます。
 スキャナだと紙の凹凸や絵の具の影が目立ってしまうからです。


06
 ゴミや、汚らしく見えそうなところを直します。
 大きいブラシを使うとベターっと綺麗になりすぎるので、細いブラシでクロスハッチ・・・というよりグシャグシャーっと適当にやってます。
07
 細かい調整や加筆を加えて完成。

 これから雪や曇り等のバリエーションをつくります。

 



では、最終的な完成形は一体どのようになっているのでしょうか?次のページをご覧下さい。