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六年戦争

 ヴァルデマール歴 337 年、ミドルトン帝国レステッド家領土内での民衆による武装蜂起に端を発する 二年間の内乱と、その後ミドルトン帝国祝福コルンとの間で勃発した四年にも及ぶ 戦争を合わせた呼称。別名、血の刃鎌戦争とも。 343 年のカダム中立海域和平会議にて一応の終結を見るも、会議中に発生した悪天候による事故により、 ミドルトン皇帝、コルン国王両名を失い、双方に大きなしこりを残し、世界には長い停滞の時代をもたらした。



ミドルトン帝国

ミドルトン帝国

 カネマラ大陸に君臨する国家連合体。大小合わせて二十に及ぶ有力貴族の支配地域が、ひとつの共同体を 形成している。現皇帝はジェム家、フューズ家、ヒューイット家、タラモア家の四選帝侯により選出された ブレス家のイェフ。民衆の信頼の厚かったブレス家を、傀儡として担ぎ上げたはずの四選帝侯ではあったが、 戴冠直後に発生した隣国コールレンの帝国領侵入をイェフが瞬く間に武力制圧したことで、その目論見は泡沫 の夢と消えることになる。侵略国に対する確固たる姿勢は、やがて他貴族との信頼関係に繋がり、伝統と規律を 重んじたその手腕は民衆にも広く受け入れられるようになる。しかし 343 年のカダム中立海域和平会議にて、 祝福コルン王ブルクハルトと共にその行方が不明となり、実質的には皇帝は空位となっている。なお国家連合体では あるものの、各国の代表者は基本的にはミドルトン帝国の貴族としての爵位を名乗る。



祝福コルン

祝福コルン

 ドールニア大陸を広く支配する新興国家。エール海を挟んでミドルトン帝国と敵対していたが、 四年前の 343 年に成立した和平により、現在は停戦状態にある。もともとドールニア大陸を事実上支配する ドッペル王国に仕えた傭兵騎士団であったが、傭兵隊長ブルクハルトの武勲により、 大陸東岸の領地を与えられた。その後戦乱に飲まれたコルンは、衰退する ドッペル王国とは対照的に、重武装の騎士団を軸とした強大な軍事国家へと 成長を遂げた。325年、ドッペル王国に認められる形で独立。弱小貴族出身の傭兵であった男が、一国の主と なった英雄譚は、彼の持つカリスマ性も相まって、近隣諸国民にも受け入れられている。国家の名の由来は、 ドールニア大陸に伝わる伝説の国家「コルン王国」から。 「祝福コルン」とは「神聖なる神の祝福を授かりし コルン」の意。戦乱に乗じ一時はドールニアの鷲と呼ばれるほど勢力を伸ばした コルンではあったが、カネマラ大陸で発生した内乱を切っ掛けとして、 ミドルトン帝国との戦争に突入。以後、たった四年の間に国民の三分の一を失い、和平条約締結時には 傭兵王ブルクハルトをも失い、現在では一頃の勢いを失っている。現在の国王はブルクハルトの甥である アルトゥール。



離島エーデル

離島エーデル

 祝福コルンのドールニア半東海岸と、ミドルトン帝国の カネマラ大陸西海岸とを直線で結んだ、その丁度中間点に位置する海洋辺境都市。 祝福コルン領としてその名を王国の領土に連ねているも、極めて自由な自治が認められた希有な 都市となっている。前時代の遺物である古い石材を組み上げて形成された旧市街と、富裕層の 生活する新市街とが存在し、の中央を流れるロッゲン川がふたつの を分断している。エーデルへの武力侵攻は困難を極めるが、 ドールニア大陸からの入植者がへと渡り、 領主デューリング家当主が世襲。 六年戦争以前は独立国家として存在していたが、四年前のコルン侵攻に伴いデューリング家は無血にて降伏。 カダム和平条約締結後の現在ではコルンに吸収され、領邦として存続している。周囲を海に囲まれた 天然の要塞として名高く、を造り始めて以来、外敵に対しては無条件での降伏を宣言し続けている。 の警備を担当するふたつのも城塞の体裁を採用していない。 エーデルは、 コンラート・バーデ将軍率いるデューリング家が代表者を世襲するようになって以降は、特にその方向性は顕著に表れており、 騎士団の他は、軍船一艘持たず、 祝福コルン王ブルクハルトにとってのコルン領でありながら帰属前と何ひとつ変わらぬ自治が認められることになった。ミドルトン海軍に対抗する為の足がかりでしか無かった事から、 戦後は



エーデル辺境伯

エーデル辺境伯

 祝福コルンから爵位を授かり、離島エーデルでの支配権限が与えられた、貴族デューリング家当主のこと。 ドールニア系ドッペル人。コルン領に属する以前からエーデルの代表者として実質的な施政を司っていたが、 コルンによる征服後は同国の辺境伯となった。 現領主ベネディクト・デューリングは、エーデルに根付く無血の精神を受け継ぎ、 コルン侵攻の際にはブルクハルト王と直接会談を行い、への被害を最小限に抑えた実績を有する。 野性の獣や野盗、海賊に対抗するために騎士団を編成しの警護を行わせているが、彼らや戦争の血に 染まることはない。



祝福コルン宮中伯

祝福コルン宮中伯

 祝福コルン国王に仕える政務官。王都にて政務を担うのが本来の彼らの任務ではあるのだが、辺境地に 派遣され、国王の目として領主達を監視する者達も存在する。離島エーデルへは、併合後三名の 宮中伯が派遣され、ひとりはエーデルへの旅路で行方不明に、ひとりは エーデル到着後間も無く病没した。現在はヴァーリア・クーニッツがその任を担っている。



エーデル騎士団

エーデル騎士団

 デューリング家に仕える騎士団。男性のみで編成された 鉄騎士団と、女性のみで編成された 薔薇騎士団が存在する。日中の日差しが強烈なエーデルにおいて重装備を身に 纏うことは出来ず、重装歩兵による密集戦術を得意とする祝福コルンに於いて、両 騎士団共に軽装騎士が主流と、王国 騎士団とは一線を画す装備で知られている。騎士団としての実戦には疎いものの、古くから他民族を分け隔て無く受け入れ続けた ことで、各地方の武術・剣術を柔軟に受け入れ発展。現在ではエーデル騎士団の 剣術は、他国では類を見ないほど洗練されている。戦争経験も無く、



カダム中立海域和平会議

カダム中立海域和平会議

 ミドルトン帝国祝福コルンとの争いを終結させるために開かれた会議。和平そのものは締結され、 長きに渡る戦争の終結こそ見たものの、閉会直後に発生した嵐によって会議場となった 新造大型船ビスマルクが沈没。双方の代表者のほぼ全員が海の藻屑と消えた。事後、生き残った僅かな人々が ミドルトン帝国祝福コルンへと和平条約締結の証を持ち帰っている。



魔術

魔術

 この世に存在するとされる、「あちら側」の世界の力を用いる行為、もしくは「あちら側」の世界を 研究する行為の総称。「こちら側」の存在は「あちら側」に対し、「あちら側」の存在は「こちら側」に 対して大きな干渉力を有するものの、互いの世界を自由に行き来する事は出来ないとされている。 「あちら側」の存在と契約を結ぶことで「あちら側」の力を限定的に行使する 「契約魔術」と、「あちら側」の存在と直接意識を共有することで一時的に 「こちら側」へと召喚する「召喚魔術」とが存在するとされているが、 現在ではそれらを行使することの出来る「魔術師」は極めて稀となっている。

 「腐食」と呼ばれる物質変化は、「あちら側」の世界に「食べられている」ことを意味し、民間では恐れの 対象となっている。そんな魔術そのものに対する形のない畏怖が「腐食銀」の 名の由来となった。




腐食銀

 文字通り腐食した銀のことで、これらで打たれた剣は岩をも断つと伝えられている。過去、魔術師達が 自らの魔術を高める研究中に偶然発見したものだったが、その希少価値と神秘性から、 腐食銀を錬成する法を求める魔術師達が現れるようになった。後に 腐食銀を追い求める探求者達を、錬金術師と呼ぶ様になった。



アルテファクト

アルテファクト

 錬金術師の生み出した腐食銀を鍛冶師が打ち、魔術師によって魔力付与を施された、古より伝わる武具の総称。一頃は腐食銀の製法が失われていたものの、近年、錬金術師クラエス・ポ ーによって、腐食銀とは異なるが、美しい金属の錬成方法が発見され、その頃から一般的に呼称される アルテファクトは、およそ二百年前に稀代の魔術師としてその名を知られた、 コンスタンツァ・ブラッコの手によるものに限定されている。コンスタンツァ・ブラッコは数百にも及ぶ腐食銀製の 品を生み出した人物として知られており、現在でも五十点ほどの武具が確認されている。出生から没するまで非常に 謎の多い人物で、また武具に名を刻まなかった事から、コンスタンツァが手がけたと謳われる アルテファクトの贋作が多く出回っている。

 一般的には知られていないものの、コンスタンツァ作のアルテファクト―― 中でも彼女が最も得意とした剣には「柄に前使用者の名が浮き上がる」という一風変わった仕掛けの施されたものが 存在し、贋作を見抜く事は困難だが、真作を裏付けるのはある意味容易となっている。使用者が死すると同時にその 名を刻む事から、別名「魂喰らい」とも呼ばれている。



蝶

 世界各地に生息するとされる伝説上の生物。「こちら側」と「あちら側」の世界を自由に行き来することを 許された唯一の存在で、この生物の姿を見ることが出来るか否かが魔術師にとっての最も重要な資質とされている。