Prologue

ヴァルデマール歴 343 年、不毛で凄惨な六年戦争がひとつの会議によって停戦を迎えるも、その最中に発生した大嵐によってふたりの賢王が波に飲まれ、世界はまるで凍り付いたかの様に停滞期を迎えた。西の祝福コルンは、戦争により傭兵王と多くの兵を失ったことで衰退。東のミドルトン帝国は、貴族間の醜い皇位継承争いと、かねてより問題となっていた隣国兵の侵入により、絶え間ない疲弊が住民に更なる圧政を強いることとなる。祝福コルン領邦、離島エーデルでは、周辺国の衰退する中、腐食銀と呼ばれる旧時代の遺産の存在によって俄に活気を帯び始めていた。しかしが活気付くと比例して「人間が凶暴化する」謎の事件が多発し、年を追う毎にその被害者が膨れあがっていた。

ヴァルデマール歴 347 年。航海中に転覆した船舶から、ひとりの青年が離島エーデルに漂着する。記憶を失いながらも不思議と事件に吸い寄せられていったその青年は、エーデルに伝わるの伝説に触れ、次第に世界を取り巻く、目に見えぬ暗雲の中へと足を踏み入れていくことになる。


――戦争終結から四年。嵐の夜に凍り付いた世界が、静かに、けれど確かに、再び時を刻み始めていた。